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余命10年原作結末ネタバレ!最後の意味を考察

余命10年原作結末ネタバレ!最後の意味を考察
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2017年の発売から、50万部を売り上げている小坂流加原作の小説「余命10年」がついに映画化されることとなりました。

小松菜奈と坂口健太郎のW主演となります。

また、主題歌としてRADWINPSの新曲「うるうびと」が書き下ろされ、劇中の楽曲もRADWINPSが手掛けています。

小説としては完結していますので、小説を読んだ方は映画のネタバレとなってしまいますが、この映画は1年をかけて行われました。

藤井道人監督の映像へのこだわりと春夏秋冬の景色と2人の美しい姿が、小説とはまた違った世界観を見せてくれることでしょう。

そして、この「余命10年」はよくある「死」についてのお涙ちょうだい映画ではなく、「生きる」ことがテーマとなる映画です。

坂口健太郎演じる和人と、小松菜奈演じる茉莉がなぜ惹かれあったのか、最後にはどんな意味が込められているのか考察していきましょう。

この記事では、映画「余命10年」の原作となる小説のネタバレや、この映画に込められた最後の意味を考察を紹介していきます。

 

余命10年原作結末ネタバレあらすじ

原作では、20歳の茉莉が、数万年に1人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知ります。

「自分が悲しい顔をしていては、周囲の人たちが追い詰められてしまう。」

「何かを始めようとしても、達成できずに終わってしまうかもしれない。」

そんな気持ちを抱き、茉莉はある決意をします。

 

未来への可能性を捨てる茉莉

心穏やか死をむかえるため、自分の未来への可能性を放棄することを決めた茉莉。

「誰かを好きになったりしない」という、堅い決心をします。

そして「死ぬ」ということへの恐れが希薄になり、「生きる」ことへの執着心を忘れて毎日をやり過ごしていました。

そして、なにげなく始めた趣味に熱中し、「恋はしない」と堅く決心した茉莉でしたが、小学校の同窓会で和人に出会います。

 

和人との出会い

和人は、歴史ある茶道の家元の息子でありながら、思い重圧に耐えられず、生きることに疲れていました。

二人は小学校の同窓会で、茉莉が余命宣告を受けてから5年後に再会します。

和人は、「茉莉ちゃんが初恋の人だった」と優しくにっこりと微笑んで言います。

そこから滑るように茉莉は和人を好きになっていくのですが、それと同時にとても辛くなっていきます。

 

プロポーズ

和人は「茉莉、俺と結婚しよう」と伝えました。

恋人としての日々を過ごし、茉莉にとってはこれ以上ないくらいの幸せな感情が沸き上がる瞬間だったはずです。

それでもなお、茉莉は和人のプロポーズを受けずに、「死」への残り僅かな時間を一人で過ごすことを決めたのです。

そして、茉莉は指輪を返し、言い出せなかった病気のことを和人に話し始めます。

 

余命10年原作結末ネタバレ!

結論から言うと、奇跡は起きません。

茉莉は、残り3年の命となり、闘病生活を送ることとなりました。

当たり前だった日常生活から、病状の悪化で入院生活が始まり、自分の家での生活ができなくなりました。

歩くことが困難になり、ついにベッドから起き上がることもできなくなっていきます。

余命を知った時から、失っていくだけの10年でした。

未来を夢見ることを捨て、他人を同じような生き方を捨て、恋を捨て、愛する人を捨てました。

すべてを捨てる決意をしたことは、後悔していません。

しかし、すべて捨てたとしても心が穏やかな状態で「死」を迎えることはできません。

茉莉は、生きたいのです。

小説では、茉莉の最期は描かれていません。

しかし、結末では茉莉が生きたかった明日、未来を和人がどう受け止めて、これからどう生きていくのかが描かれています。

 

余命10年の最後の意味は?

映画「余命10年」のキャッチコピーである「彼女は最後の10年を生きる まるで、人生の始まりみたいに」ですが、タイトルにある「余命」という言葉は「死」を表していることが分かります。

しかし、キャッチコピーには「人生の始り」つまり「生まれる」ことを意味しているようですよね。

このタイトルとキャッチコピーの対比は、「生と死」を対比しているかのようにも考えられます。

この意味を小説の場面から詳しく解説していきます。

 

「もっと生きたい」という執着心

20歳の茉莉は、数万年に1人という不治の病にかかってしまいます。

そして、余命10年であることを宣告されました。

茉莉は、自分にはもう未来がないことを悟り、恋はしないと決心しました。

大好きな人ができれば、自然ともっと生きたいと強く思うようになり、「死ぬこと」が怖くなってしまうからです。

なににも執着を持たずに、残された時間を日々淡々と生きていくことで、心が穏やかなまま「死」を迎えたいという茉莉の決心が表れています。

しかし、和人と出会うことで、この決心は揺らいでいきます。

和人を好きになれば好きになるほど、同じように「死」というものが辛くて、苦しいものになっていくのです。

未来を捨てたはずの茉莉の心の中には、「生きたい」という執着心が生まれるのです。

余命10年の間、和人と一緒に過ごすことによって、「生きたい」という思いはどんどん強くなっていきます。

 

茉莉と和人が惹かれあう意味

キャッチコピーには「まるで、人生の始まりみたいに」という部分がありますよね。

産声を上げて生まれた世界で、一生懸命生きようとする赤ちゃんを指しているのではないでしょうか。

茉莉の「生きたい」という執着心が、執着を捨てたはずの世界に生まれ一生懸命生きようと産声をあげたように感じられます。

そして、その「生きたい」という気持ちを、茉莉と一緒に育ててきた和人。

「生きたい」と思う茉莉に、生かされていた和人ですが、一緒に育ていた「生きたい」という気持ちを引き継ぎ、和人は前を向いて歩いていきます。

この世への執着心が希薄となっていた茉莉と和人が惹かれあい、「生きたい」という気持ちが二人の中に産まれたという意味が、映画「余命10年」のキャッチコピーである「彼女は最後の10年を生きる まるで、人生の始まりみたいに」として、表されているのではないでしょうか。

 

余命10年ラストその後を考察!

余命10年のラストでは、茉莉は和人との別れを選びます。

そして、病気は治ることもなく、和人が茉莉の最期を看取ることありません。

この部分は、映画でも小説とあまり変わることなく描かれるのではないでしょうか。

その理由を考察していきましょう。

 

茉莉の本当の気持ち

どうしても、茉莉の残された時間を一緒に過ごしたいと伝える和人でしたが、茉莉は聞き入れませんでした。

和人は、茉莉が頑なに残りの時間を一緒に過ごすことを断るので、子どものように投げやりな発言を繰り返します。

茉莉は、和人の頬を叩き、優しく両手で包みました。

その瞬間、和人と出会った意味は、和人を生かすことだったのだと茉莉は気づいたのです。

和人のおかげで生きていたのは自分だけでなく、自分もまた和人を生かすための存在だったのだと。

そして、茉莉は自分の想いは全て和人に伝えられたから、もう「死」を迎え入れる準備ができたのだと思ったのです。

ついに茉莉は、余命残り3年となり、当たり前にできていたことが、病状の悪化によりできなくなっていきます。

つまり、大好きな人には見せたくない姿となってしまうのです。

茉莉は、これで良かったんだと自分の選択に後悔はありません。

しかし、寂しくないわけではないのです。

生きたいという欲求と闘いながら涙を流し、茉莉のお葬式の描写とつながっていきます。

 

和人の未来

大好きな茉莉を失い、これまでの和人であれば自暴自棄なっていたところでしょう。

しかし、和人は前に向かって歩いていきます。

茉莉を通して、和人は「どう生きるか」を考えされられたのではないでしょうか。

生きるということは、心臓が動いていればいいというわけではないのです。

恋をしたり、友達と遊んだり、趣味に熱中したりと心が動かされることで「生きている」ことを実感することができるのではないでしょうか。

和人は、茉莉が生きたかった明日、そして未来を生きていることを大切に思うようになったのだと考えられます。

 

まとめ

この記事では、映画「余命10年」の原作となる小説のネタバレや、この映画に込められた最後の意味を考察を紹介してきました。

この映画「余命10年」では、「死」への悲しみだけではなく「生きる」ことがテーマとして描かれている作品です。

冒頭では、単なるお涙ちょうだい映画ではないと宣言しましたが、茉莉の気持ちを考えると胸をえぐられるように悲しく、切なくなってしまい涙を流してしまいます。

しかし、この映画にはそれだけではない、全く別の意味のあるテーマの作品なのだと感じました。

この映画の原作の小説「余命10年」はすでに完結しており、映画の最期の結末はネタバレしていますが、藤井道人監督の映像美や小松菜奈さんと坂口健太郎さんなどの俳優陣によって、より魅力的な物語となっているのではないでしょうか。

また、映画の楽曲として書き下ろされたRADWINPSの新曲「うるうびと」は、和人目線で作曲されているので「うるうびと」の楽曲をとおして、和人の気持ちを考察できますね。

この映画をとおして、改めて生きる意味を感じることができるのではないでしょうか。

小説を読んでいてもいなくても、よくある恋愛小説とは全く違う映画「余命10年」をぜひご覧になってみてください。